shichigoro-shingoさん
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shichigoro-shingo(以下、shingo)
なんかねえ、みんな勝手に僕のホームページから絵を引っ張ってって、勝手にTシャツ作ったりする。そういうのが多くて。外国とか、840ピクセルの絵でTシャツ作っちゃったりしますからね。

岩田
840ピクセルでTシャツ作るの!?
© shichigoro-shingo
shingo
そう。すごいなあと思って。僕、ブラックミルク相手にレギンスのデザインをやるじゃないですか。やっぱそういうのは実寸で絵を渡すんですけど。
でも、中国とかだと、840ピクセルでTシャツ勝手に作る。

岩田
すごいなあ。
もはや新しい効果ですよね。

shingo
いや、多いですよ。ザラですよ、そんなの。
やっぱそういうのって紙媒体に印刷するときは気になるんですけどね。

岩田
Tシャツとかだと気にならないんだ。

shingo
どうなのかなあと思って。
ブラックミルクみたいなところはすごい印刷こだわってるんで、画像のサイズは大事なんだけど。840ピクセルみたいな、そんなんでも需要があるんだなあって。

岩田
そういえば僕らって「写ルンです」の世代でしょ。

shingo
そうですね。

岩田
「写ルンです」で普通に旅行写真撮ってたじゃないですか。そこへデジカメ出てきたじゃないですか。デジカメってなんて汚い画像なんだろうって思ったんだよね。味わいのない。こんなんでこれからの人はメモリアルなものを残していくんだあ、って。
そしたら、ガラケーだよね、携帯写真コンテストとかやりだして、
© shichigoro-shingo
shingo
びっくりしますよね。

岩田
びっくりして。

shingo
すげえなーって思いますよね。あれなんなんだろう。

岩田
新しい動きが出てきたとしか思えなくて、

shingo
僕、去年、初めてデジタル一眼レフ買ったんですよ。僕、いまだに携帯はガラケーですし、それまでずーっと、そんなに写真というものにこだわりなかったんですけど。
やっぱり自分がモデルを作るようになって、できれば自分が作ったそのオモチャをどれだけキレイに見せられるか、本物っぽく見せられるかっていうのをやりたいなーって思って買ったけど、なんか、そのデジタル一眼で撮るよりも、誰かがアイフォンとかで撮った写真のほうが、キレイだなあって思って。

岩田
鼻垂らしたボンボンがポケットに手入れて、片手で撮ったスマホ写真の美しさ!

shingo
写真を撮る人って、すごい大変な世の中になってきてるなって。
© shichigoro-shingo
岩田
僕の友だちで通訳やってるやつがいて、「技術職だからいいよね、食いっぱぐれもないし」って言ったら「そんなことはないよ」って。「グーグルが怖いよ」って。

shingo
ああ、そうですよね。そりゃそうですよ。僕、今やってることは海外でスタートしたんですけど、英語はいまだぜんぜんできないんで。だから、グーグル先生ですもん。

岩田
その友だちはフランス語の通訳なんだけど、まだ僕たちは

shingo
ぎりぎりで

岩田
そう。欧米語・日本語間の通訳だからいいけど、フランス語と英語みたいに欧米語同士間の通訳は、今や壊滅状態だって。

shingo
でしょうね。ブラックミルクとやりとりするときもそうですけど、グーグル先生で感情が通用するんですよ。

岩田
ほんと?

shingo
正確なことは言えないけど。僕は喋れないっていうことは相手に言ってるんで、それで、なんとなく、これを伝えたいっていう気持ちをグーグル先生にお願いして、やる。そうすると、向こうもなんとなく受け取ってくれる。
通訳なくても、なんとなく外国の方とやり取りができるっていう。翻訳機さまさまで。本当だったら通訳を通さないとコミュニケーション取れないはずなのに。
でも自分らが受けてきた英語教育って、ひどくないですか? 中学・高校のときって、外国の方って、別世界の人っていうか。僕の周りには海外関係の人って、まったくいなかったし、飲み屋さんやるころになって、横須賀の外国人とかと知り合って、初めて接点ができたくらいで。
だから海外とのコミュニケーションってすごく敷居の高いものだと思っていたんです。
なのにネット上で、オレみたいな英語しゃべれない人間でも、

岩田
いけるんだ。
© shichigoro-shingo
shingo
いけるんですよね。僕は英語読めないのに。「これだけやるんだったらこれだけお金ください」とか。契約書とかも。
「これだけは欲しい」ってやれば、向こうは「OK、じゃあ」って。

岩田
契約関係いけちゃうんだ。

shingo
不思議なもので。言葉の壁をある種超えてる。それはグーグルがあってのことで。
そういうのがあるから、ネット環境ってすごいなって。
今自分がこういうふうにやれてるのも、インターネットがあるおかげだし。

岩田
そうだね。

shingo
まだ僕が大学生のときって、パソコンうんぬんっていうのはそんなになかったですよ。自分が卒業する間近になってから、パソコン使ってデザインやろうとか、外国の方とコミュニケーションとろうみたいなかんじのものができて。
だから自分が大学入った時って、すごいアナログだったんですよね。
で、大学出て、ゲーム会社入って、初めてパソコン触って。自分の中のアナログ人間的な部分が、解放されてったというか。
ほんと今の自分があるのって、アナログで始まってるその感じも良かったのかなって。僕がやってることって、僕の中では、アナログなんですよね。描いてるものにしたって何にしたって。

岩田
まあ、アナログだよね。もってるものはアナログだよね。それをアウトプットするのにデジタルの力を借りてるということだよね。

shingo
結局やってることはアナログなんですよ。ただそれを世の中に広めることが気楽にできるっていうのはデジタルの力ですし、それで世界と繋がれるっていう。
今は当たり前のことだと思うんですけど。
© shichigoro-shingo
岩田
でもやっぱりいまだに驚くよね。
当たり前じゃないよね、ほんとは。

shingo
じゃないと思いますよ。

岩田
びっくりしますよ。あらためて。

shingo
ありえないですよね。
学生の時って、そういう意識ありました?
世界と繋がるなんてこと意識してないじゃないですか。

岩田
僕は書院のワープロ使ってましたからね。
僕が卒業する年くらいに周囲がネットをちょこちょこやりだしたから。

shingo
こんな世の中になってくれて、すごく寂しいところもあるけれど、すごくありがたいところもあって。

岩田
グーグルの創始者が僕らとだいたい同じ年齢じゃないかな。

shingo
そうなんですか?

岩田
オレより1つ上か2つ上か、それくらいだよ。

shingo
へえー。
© shichigoro-shingo
岩田
ネット社会学みたいなのを調べてる人たちは、けっこう僕らの世代に注目してるらしいんだよ。
ビル・ゲイツっていう人は、フリーでみんなと何か共有しようっていう思想の人じゃないですよね。プロダクト作って、利益を独占しようっていう人なんだけど。
でもそのあと、僕らの世代の人たちの中から、グーグルみたいなああいうのが出てくるわけで。
みんなで共有しようっていう思考が現実化してきて、それやりだしたから、僕らの世代は何かあるんじゃないかっていうのがネット社会学の興味としてあるらしいんだよ。
で、僕らの世代って、どういう世代かっていうと、ネットがない時代に育って、コンピュータに興奮しながら

shingo
ファミコンですもんね。

岩田
うん。少しずつ少しずつインターネットの可能性拡げてった世代だよね。
僕らの下の世代になると、ネットとともに育ってきてるから、そういうことに興奮するとかじゃなくて、それが所与の環境になってる。だからまた違う動きが起きてるっていうのがあって。
ちょうど僕らの世代がその端境期になるんだって。なにかイノベーションが起きてるのはここらへんの世代からが多いっていう話がある。
もしかしたらフェイスブックの創業者も同じ世代なのかな。

shingo
いや、もっと若いですよ。

岩田
ぜんぜん若いんだね。
© shichigoro-shingo
shingo
ぜんぜん若いです。今30代前半くらいになってるのかな。

岩田
7、8年くらい開くんだ。

shingo
うん。 世の中の流れが面白い

岩田
僕、怖くもあるんですけど。

shingo
怖いのもある。
こんなんまるっきり想像してなかったですから。

岩田
何も変わっていないっていえば、何も変わってない。

shingo
変わってないことはないでしょう。
「こんなはずじゃなかっただろ?」っていう。

岩田
ブルーハーツだ(笑)。
僕には2つのレイヤーが離れて動いてる感覚があるんですよ。
「すごい変わったな」っていうのと、「結局人は何も変わらない」っていう。

shingo
僕がイメージしてたのは、ブルーハーツを聴いた人間たちが、そのまま王道で、そのまま熱く思い続けて世の中を作ってくんじゃないかって。
でも、今でも僕はそういうふうに思ってるんですよ。そういう熱くなってる人たちっていうのが世の中を作る。
© shichigoro-shingo
…何だろうな、マジョリティーがやっぱ崩壊してく感じはしますね。今、世界ってそんな感じかな。
アメリカも白人の人口が減っていって、今、マイノリティーだった人たちがマジョリティーになりつつあって。インドの人が頭がいいっていうふうに言われ始めたのも最近だし。それは良いことでもあるけど、本当はだれが一番、王道になるべきかっていう…。
僕は、でも、一生マイノリティーでありたいって思うんですよ。生活だったりお金を得るためにメジャーになりたいとは思うんですけれど、精神的にはマイノリティー。そういうふうありたいなって思う。

岩田
いや、ちゃんとなってますからね。

shingo
なっちゃってます(笑)。そうね、今さら。 うーん。

岩田
自分は、確かにね、もうちょっと普通にメジャーな言葉として伝達できないかなとか思うけど、違うんだ、と気づいて。じゃあ、そういう自分を引き受けたと。
メジャー路線って、簡単に言うと、金銭みたいな数の多数決みたいなものかもしれない。
でも僕、別の多数決あるんじゃないかと。熱量の多数決みたいな。それ、できないかなと思って。
今ネットの世界で言われてて。数の多数決だとアクセス数で上に上がってくるじゃないですか、検索結果が。最近、もうそれはいい加減にしようというふうになってきてて、滞在時間という熱量で検索上位結果みたいなものを出そうよみたいな動きが出てきてるらしいんだけど。
たしかにもう限界が来てるのかな。カウント数、数字を集める類の多数決の時代は終わりつつある。というか、むしろその傾向が加速してるからそう言ってるっていうのもあるんだろうけど。
© shichigoro-shingo
shingo
単純にカウント数で世界のトップに立ちたいとかいっても、もしそれをやったとして、それが今の世の中の一番かというと、決してそうじゃないですよ。

岩田
それって結局、消えていくものには違いないんだけど。何なんだろうね、あれは。
一年でもいいから虚数を集めて居座る感覚っていうのは。

shingo
でもどっかでそういうこと言ってる自分も、そうありたいと思ってる。

岩田
そんな手段使ってもいいから一回上がらせてくれと。

shingo
そうそうそう。
だから僕はホントに一発屋に憧れるし。
一発屋って、一発やってるだけ、素晴らしいと思う。だからそういうふうにはなりたいんです。常に。

岩田
一発屋は、クオリティー高い人、多いよ。

shingo
一発だけでもあてられるってことはすごくいいことだと思う。
でも一発も当たらなくて死んで、それでも魅力あるとかいわれる人も、すごく素敵ですけど。
© shichigoro-shingo
岩田
僕、26歳でこっちきて。最初に「うわ、東京だ」って思ったのは、某書店に行ったときに、「いらっしゃいませ」って言われて。
僕、店の奥のほうへ入っていくじゃないですか。で、「いらっしゃいませ」って一人が言うと、僕の顔見てないのに、そこらじゅうに散らばってる店員さんたちが「いらっしゃいませ」「いらっしゃいませ」って。
「うわ、東京だ」って思った

shingo
(笑)見ないのに。ロボだ。

岩田
やっぱり東京に才能が集まるって思って、こっちに来たんですよ。でも東京来たら、実際は、やっぱり才能の数は東京の方が多いんだと思うんだけど。人口比率にすると、よくわからない。
「いらっしゃいませ」「いらっしゃいませ」みたいな世界って、それが成立する都市って、やっぱり変なわけで。そうなると僕、単純でバカだから、故郷の良さに気付きだすわけですよ。
岐阜でお世話になった何人かの先輩たちを思い出して。ものすごいキメ細やかな解像度で物事を見て僕と付き合ってくれてたんだなっていうのがそのときぶわーっと見えてきて。ああ、あの人たち、本当の天才だった、って。
東京の大学にきてたけど、そのあと岐阜に帰っちゃった僕の友だちがいて。「たまには東京へ遊びに来ない?」って言っても、「いやあ、東京はチカチカするから」って言うんですよ。彼は天才なんですよ、やっぱり。「東京はチカチカする」なんて言葉、誰も言えないですよ。彼のヴィジョンみたいな話は東京ではなかなか聴けないんです。
なんかおかしいんですよ、岐阜のある種の人たちは。「何見てるの?」って。森を見てるし、蜂の子がどこに生活してるか見てるし、そういう生活してる人たちから出てくる言葉って、ちょっと次元が違ってて。
© shichigoro-shingo
shingo
あの、僕ね、今の世の中で東京って何なのかって言うと、やっぱり発信する場所だったわけじゃないですか、過去。
現在は、それは必要ない。東京である必要がまったくないですよね。
やっぱり、それぞれの田舎であったりとか、自分の人生観を持ってる土地に根付いて、その中で、再発見させていくというか、人と成りみたいなものが出てくるものを発せられる人っていうのが、生きていける人たちになっていくのかなと。
東京って素晴らしいって思われてた、っていうのは、やっぱりもうすでに昔の話だと思うんですよ。今は東京でもないし、日本は素晴らしいかというと、日本でもないかもしれない。
結局やっぱり個人になる。その個人を作ってってるものっていうのは、その人が生きてきたことだったりとか、どこの場所にいようが、その人が感じたものを、そのまま出していける人。
そういう人から出たものは、まったく知らない世界の人が見たときにも、お互い共感を持てる。そこになっていくのかなと。

岩田
ああー、すごい。

shingo
昔は発信する場所っていうのがなかったから、東京にいればそういうメディア関係だったりとか、雑誌関係だったりっていうのが集まってるから、東京に出てくればそれを出せるよっていうふうになってるけれども、今はもうそういう感覚はなくなりつつあるし、「東京=オシャレ」でもないじゃないですか。それこそ沖縄だったり大阪だったり、どこの場所にいようと、その人が持ってるものが強いものだって思うんですね。
で、みんなの感覚が、そういうふうになってきている。
東京という街自体がある種幻想だと思うし、今、何をやるにしたって、東京である必要はない。
結局、それは個人でもそうだし、企業でもそうだし。
で、それはある種、オレからしてみたらすごくありがたいことだと思う。英語喋れないわ、片田舎だわ、そんな自分が絵を描いて、なんとなくでも認識してもらえるようになってってるっていうのは、そういうふうに世の中がなってってる。

岩田
日本よりオランダやカナダやアメリカから引っ張られるじゃない。そういうことだよね。それをメディアとして繋いでくれるのが、ネットだよね
© shichigoro-shingo
shingo
ネットだと思いますよ。で、その、やっぱり日本のことを知らない人たちだと思うし。

岩田
大手メディアの力を借りてない。テレビ局、出版社ではなく、ネットで世界から引っ張られるってことは、裸のままで置かれた時に何の絵が欲しいかっていったら、シンゴさんの絵が欲しいわけで。
グーグルの画像検索で初めて見て、やっぱり違う。ひときわ違う。

shingo
いや、それはホントありがたいんですよ。自分がこういうふうなことをやってられるのはそのおかげだと思うんですよ。ネットであったり。
でもやっぱり日本でもちゃんと知られたいと思うし。
でも自分よりもっとすごい人たちがいっぱいいるんで、先駆者たちがいっぱいいるんですよ。で、それもありがたいなと思うんですよね。
その人たちって、松岡さんにしても中村さんにしても、自分にとっては一世代以上違う人たちなんです。でもそういう人たちっていうのは、ネットもまだそこまで普及してない時代にやってたわけだし。

岩田
すごいよね、そのことを考えると。

shingo
すごく、素晴らしいんですよ。
だからほんとに、僕の中からしてみればマイノリティーなんですよ。マジョリティーが覆う世界の中で、当時そんなものを好きで、そんなものをやってる人っていうのは、もっと世間からの反発ってヒドいと思うんですよね。まったく理解を得られなかったと思うし。
でも結局、僕らなんかから見ても、すごくカッコいい! って思えるっていうのは、そういうものを持ちつつ、今も現役で作りつづけられるっていう。
そういう人がいるからこそ、自分も頑張りたいって。

岩田
今の話はすごいリアルに感じられたなあ。

shingo
ホントに、僕より中村さんと松岡さんを紹介したいです。もっとちゃんといい話が聴けると思うし。
ほんとにねえ、いいですよ。レコーダーなしで話をしたいです。みんな、面白いですよ。
© shichigoro-shingo