マリメッコとは
大胆な柄と美しい色彩感覚で独自の世界観を醸し出すフィンランドのファブリックブランド「マリメッコ」。デザイナーの個性が強く強調されたテキスタイルは時代を超えて愛されており、ケシの花をモチーフにした「ウニッコ柄」はあまりにも有名です。
インテリアやファッショングッズ、雑貨など幅広いプロダクトを通し、唯一無二のライフスタイルを提案しています。
マリメッコの歴史
歴史の始まりは1951年。「大胆で個性的なデザイン」をビジョンに掲げ、ファブリックの女王と称されたアルミ・ラティアとその夫ヴォリオによってフィンランドで創業されたマリメッコ。アルミを筆頭に若いアーティストを集め、ヘルシンキでファッションショーを開催。その中でも創業時のデザイナーであるマイヤ・イソラが手掛ける斬新な柄と美しい色彩は注目を集め、マリメッコというブランドを生み出すまでに至りました。ケシの花をモチーフにしたUNIKKOを代表作に、半世紀以上たった今もなお、国や世代を超えて愛され続けています。
女性が主役
マリメッコというブランドが特異な性格をもっているのは、何より女性が主役という点があります。マイヤ・イソラからマイヤ・ロウエカリまで歴代のスターデザイナーはみな女性。創業者のアルミ・ラティア、前CEOのキルスティ・パーッカネンと、経営者として伝説的な辣腕をふるったのもことごとく女性でした。経営者が男だった80年代は、なぜか倒産寸前までいったくらいです。
「マリーちゃんのドレス」というブランド名が示すように、マリメッコは立ち上げ当初から「自立した女性の魅力」をテーマにしていて、それをちゃんと女性の力で作っていることに大きな個性があります。
マイホームから生まれるリアルデザイン
そのため、マリメッコのデザインの多くは家庭から立ち上がってきます。
例えば魚、果物といったキッチンに関係するモチーフ。野菜やケシの花といった家庭園芸のモチーフ。
その家庭の延長で、今度はJURMOのような故郷の景色に、そしてKAIKU(下)のような故国フィンランドの風景へと広がっていきます。

家にしろ故郷にしろ故国にしろ、ようはすべてホームという感覚です。自分のホームからデザインを引きだしてくる、ちゃんと自分の中にある肌感覚のようなものからデザインを引きだしてくる。そういう「確かさ」みたいなものがマリメッコにはあります。
ウェアブランドとしてスタートしながら、本質的にはホームウェアブランドだというのも、こういうことが関係していると思います。
有機的で揺れ動くような感覚
この肌感覚の味わいがいちばんわかりやすいのは、線の扱いです。マリメッコのデザインは、たいてい線が歪んでいます。多くが手描きで始まるため、有機的な線になったものが多いです。

カラフルでポップなデザインを打ち出すブランドはほかにもありますが、マリメッコのように、有機的な歪んだデザインはなかなかありません。マリメッコの根っこは、計算式では出ない有機的な揺れです。
デザインはパソコンではなく、スケッチ、水彩画、切り絵などフリーハンドで始まります。実際に採取してきた葉っぱや木の枝を紙に貼って、コラージュするデザイナーもいます。
このアナログ感が、シルクスクリーンなどでプリントされ製品となったあとも、線や色彩の揺れとなって匂いを残しつづけます。