日本屈指の高級ソックスブランド、HALISON(ハリソン)。ホールド感に優れ、某有名ブランドや某有名セレクトショップの靴下も、実はハリソンが作ってるものだったりします。
今回はそんなハリソンで40年近く靴下と向き合ってきた取締役店長、窪田憲次朗さんにお会いしてきました。
そして靴下についての、とてもプラクティカルなお話を伺ってきました。
靴下の良し悪しの見方、洗濯するときの心得、長持ちさせるために守っておきたいこと。
知れば役立つ、その道38年、プロのお話です。
岩田 和憲
窪田 憲次朗(くぼた けんじろう)さんのプロフィール

1958年、兵庫県加古川市生まれ。
株式会社ハリソン取締役店長。
1977年、靴下メーカーの老舗であり家業である同社に入社。
工場経験を含む10年ほどの下積みを経て、企画室勤務となる。同室で靴下のデザイン企画などを担当し、ジャカード編みペイズリー柄ソックスなど、ネクタイ柄を応用したヒット作などを生みだした。
また国内外の有名ブランドやセレクトショップのOEM生産を統括。
1991年より同社取締役に就任。
岩田
さっきの話に戻るんですけど、店頭で、靴下の良し悪しを見分ける方法はないわけですか?

窪田 憲次朗(以下、窪田)
基本は、靴下っていうのは履いてみないとわからないです。
だから店頭ではどこを見るかっていうと、そうだな、引っ張ったりすることはできないんで、

岩田
そうでしょうね。

窪田
結局まとめて買うんじゃなくて、とりあえず一足買って、様子をみる。で、それで、ビジネスにしてもカジュアルにしても、工場が同じであれば作り方としては同じなので、サイズ感とかそのへんが合えば、その店の靴下っていうのはたぶん、だいたいOKだという判断をしますね。
ただ店頭に並んでいる靴下がぜんぶ同じ工場で作られてるかどうかっていうのはわからない部分ですので。そうは言っても当然そのお店さんも仕入れるにあたって会社の基準みたいなものはあるわけで、その基準で作ってあるわけですから、そうそう合わないものはないと思いますね。
店頭で引っ張ったり触ったりできないぶん、一足は試しに買ってみるしかない、というところですね。

岩田
最低限、見える部分っていうのはないんですか?
例えば、安物の靴下とハリソンの靴下を並べて、最低限見分けれる場所っていうのはないんですか?
窪田
そうですね。単純に大きさみたいなところも実はあるんですけども。

岩田
大きさ?

窪田
日本の靴下の場合は、ドレスの場合はストレッチナイロンっていうナイロン糸を使ってるんですけども、

岩田
はい。

窪田
ナイロンっていうのは、プレーティングっていって靴下の裏側に這わせてあって、フィット感を出すためのものなんですよね。で、カジュアルソックスに関してはポリウレタンを使うんです。ナイロン/ポリウレタン、あるいはポリエステル/ポリウレタンと呼ばれる複合弾性糸で、ポリウレタンを芯にして外側にナイロンやポリウレタンを巻きつけてある。

岩田
それが裏側にプレーティングされてると。
窪田
そう。 日本の靴下は“1サイズ・フィット・オール”っていう考え方が主流なんです。ていうのは、日本ではだいたいの人が25~27㎝前後でいけるっていう。
でもヨーロッパだと、いろんな人種がいて足の大きさもいろいろ違うわけですよね。ですから靴下も足の大きさに合わせてサイズごとにわかれるんだけど、日本の場合は「25~27㎝」みたいなサイズ規格でたいていの人が履けてしまう。
で、そうすると、ポリウレタンの伸度を強くすれば24㎝の人も27㎝の人も同じサイズの靴下を履けちゃったりするわけです。
例えばお土産屋さんなんかでよく、小さい手袋、でも手を入れるとすごく伸びる、みたいなものがあるじゃないですか。あれはスパンデックスが、つまりポリウレタンが強いわけですよね。

岩田
ふーん。

窪田
そうすると、度目調整とか関係なしに、スパンデックスの寄せてくる力で足にフィットさせちゃうっていう。
そこでさっきの見分け方っていうことになるんですけど、当然そういう作り方をすると生地が寄ってくるので小さくなりやすい。
伸度が強ければ寄せてくる力が強いので、靴下自体が小さくなるわけです。


岩田
はいはい。なるほど。
窪田
靴下もペタッとした靴下と丸い靴下とあるじゃないですか。
あんまり伸びたりしないペタっとした靴下は、それなりに作ってるということになる。逆に、丸い靴下はそれなりにスパンデックスの強い、伸度の強いポリウレタンを使ってると。
結局それをやると、いちいち度目調整とかする必要がないわけですから量産もきくし。
だからパッと見で、それがいいか悪いかは別として、量産されてる靴下かそうでないかっていうのは、そこでわかりますよね。

岩田
なるほどね。

窪田
決してそういう商品が悪いっていうわけじゃないんですけど、商品自体の価値観という部分で考えたときにお客さんがどう思うかですよね。
で、おかげさまで、うち、靴下を作ってるんで、他社の商品をいただいたりとかもあるんですけど、「うーん、ちょっとあまいね」みたいな話はやっぱりありますね。もちろん自分の足がそこの靴下に慣れてるかどうかっていうのもありますけど。
バンドもので3足1000円とかいう靴下と比較したら話にはならないんですけど、やっぱりすぐにグダグダになっちゃう靴下は、結局、度目調整ができてないんです。
靴下を作ってる方としては材料費を軽くしたい、そして早く生産したい、量産したい。で、効率を上げて一足あたりの単価をさげる、みたいなことになるので。小さい靴下は当然スパンデックスが強いんで、その力によってフィット性を出してるわけだから、そんなにレベルとしては高くない靴下になる。
だからいい悪いの判断は、一回履いてみるのと、見分け方としては、靴下が小さいか大きいか。

ただそれも見ようとすればですよね。それは比較するものがあっての話なので、同じようなカタチで並んでいればなかなか判断しづらい部分があって。
なかなか一般の人が目利きになるっていうのは難しいと思いますけどね。
答えになってるかどうか(笑)。

岩田
いや、充分。初めて聞く話なので面白いです。