イタリアワイン輸入・販売会社Vino Hayashi(ヴィーノハヤシ)では「まかないワイン」というユニークな福利厚生があり、夕方の業務終了後、社員みんなでワインを飲んでいます(だいたい毎日)。
楽しいのはもちろんですが、ワインを勉強する一環なので真剣です!

登場人物は、社長のはやし(写真左)、営業女子のマテリカさん(写真中央)、バルベラさん(写真右)の3人。

はやし....
Vino Hayashi代表取締役。 兄であるソムリエ林基就と共に、2010年にVino Hayashi設立。イタリア中を車で巡り、50カ所を超えるワイナリーの取材を行っている。ワインを口にし目を閉じると、そのワインが育まれた土壌、気候、風、ブドウの生育状態を感じることが出来る(ごく稀にほんとに当たります)。愛知県出身。B型。

マテリカさん....
Vino Hayashiの営業を担当するアラフォー女子。「ワインを飲みたい!」という情熱は全スタッフ中、1番かも。イタリア留学経験があり、イタリアソムリエ協会認定のソムリエ資格を持っています。東京都出身。B型。

バルベラさん....
Vino Hayashiの営業を担当するアラフォー女子。イタリアソムリエ協会認定のソムリエ資格を持っており、イタリアの星付きリストランテでソムリエとして勤務した経験もあります。神奈川県出身。A型。

揃いも揃ってワイン好き、業務上ワインを大いに嗜んできた3人が、本日もブラインド・テイスティング(ワインを飲んで、その特徴や銘柄を言い当てる)に威信をかけて挑みます。

ワインは自社で取り扱うものとは限りません。ましてやイタリアワインじゃないことも。

今回ワイン当番として、ワインを仕入れてきたのはバルベラさん
前回ブラインドテイスティングの勝者です。
今回のワイン当番、バルベラです(ぺこり)
これ読んでくださってる方には、答えをこっそりお伝えしますね。
(ブラインドに挑戦する2人にはもちろん内緒で)

今回のワインは、

ブドウ品種
 » カベルネ・ソーヴィニヨン種とメルロー種のブレンド
ヴィンテージ(生産年)
 » 2010年
生産地域
 » イタリア、トスカーナ州の"とある"エリア。


こんな感じです。さて、ワインをズバリ当てるのももちろんですが、ワインを構成する上記の要素をみんなどれだけ当てられるのか? (逆に当てられないのか)見守ってくださいね ♪

ではブラインドテイスティング、スタートです!
じゃじゃーん。これが本日のワインでーす。
まず色は、落ち着いたガーネット、ふちがちょっとオレンジがかってますね。
バルベラよりひとこと解説
ガーネットというのは、ワインの色を表す用語として、ポピュラーな表現のひとつです。
赤ワインはルビー色、ガーネット色、レンガ色などと表現します。
ふちがオレンジがかっているのは、そのワインが「熟成」している状態を表します。今回のワインは2010年ですから、約5年間の熟成期間を、マテリカさんは色合いから感じ取ったようです。
芯は濃いね。濃淡は中程度。
ではみなさん、香りはどうでしょう?
香りのベースとして、スパイス、特にシナモンのインパクトが強い。あと甘草(かんぞう)。最初にスパイス系がばーんときますね。
ちょっとワインの温度が高いのか、香りにアルコール感も強めに感じるよね。
香りからは、滑らかそうな、丸い感じと言うか。
そうですね。いま温度が高いから、けっこう香りが強調されてるせいもあってシガーみたいな甘い香り、ちょっと紅茶みたいな香りも出てきましたよ。
バルベラよりひとこと解説
みんな、今日はどんどんドンピシャで当ててますよ!このワインはアルコールは14.5%。これってかなり高めで、一般的な世界の赤ワインはだいたい13%くらいのものが多いです。
熟成期間がそこそこ長いので、全体的にまろやかで濃厚。さらに、オークのバリック(小さい樽)で12ヶ月熟成していますから、それに由来する珈琲っぽい香りもあります。マテリカさんの「シガー」「紅茶」は、この樽のニュアンスを感じ取っているんですね。
はい、みなさん、地域、品種、特徴、どんどん言っていってくださいね!
(わたし、今日はこのあと予定があるんですから!)
これ、国も当てなきゃだよね?
まず、あったかいとこかなーって。
…あー、でも、2口目飲んだら印象が変わったかな。
あったかいんだけど、南イタリアほどじゃなくて。かといって北イタリアではない。
んー、スペインでもないし。。やっぱりイタリア!
けっこう、カルドですよねー。
わたしも、国はイタリアだと思う。
バルベラよりひとこと解説
カルドというのは、caldo=イタリア語で"あつい"の意。天候が暑い場合にも使われますし、温度が熱い場合にも使われます。ワインの場合には、アルコール度が高くて、口の中がワァーっと熱くなるときなんかに使うのです。
まずお二人とも、国は正解。イタリアです!
あー、ほっとしました(笑)
エリアだけど、僕はこの辺だと思う。(地図を指して)

ただ、あんまり北過ぎるわけじゃない。緯度で言うとオルトレポーとかヴェネトとか、フリウリの海岸に近い方とか。

焼けた感じ、焦げた感じがあるんだけど、種までは熟していない感じがする。
もうちょっと熟すとアーモンドだけど、香りに種の青っぽさがでてる。
いいとか悪いとかじゃなくて、果皮の表面焼けてるけど、種まで熟してないような。
アルコールが高いのは、果肉は十分に熟してるからって思うんだけど・・・
私は、香りがヴァルポリチェッラって思うんですよね。
でも、ブドウはメルローが混ざってる感じがします。うちのワインで言うと、イグムみたいな。ああいうニュアンスもあるんですよねー。
こちらが弊社取り扱いのイグム。凝縮感のあるワインです。
> 詳細はこちら
(うわっ!(焦)マテリカさんの口から、弊社の北イタリアはアルト・アディジェ州の"イグム"の名前が出ました! 使っている品種がメルローとカベルネでかなり近いですが、正解は中部トスカーナのワインなんですねー。)

では、そろそろ皆さん回答にいきましょうか。逆に、これはないってのはあります?
私、第一印象からずっとヴァルポリチェッラなんだけど、バルベラちゃんの反応見てたら、どうも違うんじゃないかって思ちゃった(笑)

う~ん、、決めました。
メルローと・・・、サンジョヴェーゼ・・・?!かなあ?
地域はトスカーナ州。そういう感じの、トスカーナにあるでしょう?ちょっとサンジョヴェーゼの酸とは実際違う気がするけど。消去法で。
トスカーナのどの辺にします?
(すごい正解に近づいてるんで、畳み掛けてみます!)
・・・・このへん。トスカーナの南の方かな。。
僕も決めました。ブレンドかもしれないけど、ブドウはカベルネ・ソーヴィニヨンにします。エリアは海岸に近い方のフリウリ。んー、この焼けた印象。。あー、、やっぱりカベルネ・ソーヴィニョン100%にします!
ではみなさん、答えを明かしていいですか?
お猿さんカバーを外しますね。
じゃじゃん! 正解はこちら。皆さん悩んでいた地域は、トスカーナ州の南、マレンマ地方でしたー。

お二人とも今回はかなり惜しい!
はやし社長は、主要品種のカベルネ・ソーヴィニョンを見事正解!
マテリカさんは、トスカーナ南部と、ブレンド品種のメルローが正解!!
ヴィンテージは、2010年でお二人とも正解です!!!
マレンマは地図で見て頂くとわかるとおり、トスカーナ州でも南の方。かなり日差しの強い、暑いところ。海岸から10kmほどしか離れてなく、標高も高くない場所です。
ここまで推理するのは、香りのスパイシーさによって、海っぽいミネラル感が隠れてしまっていたから、なかなか難しかったかな・・・?
Googleマップでマレンマ地方を調べる(真面目な)3人。
海っぽい塩味のニュアンスがあれば、マレンマかと思ったのですが、それがなかったので、ピタリ賞ではなかったですね。。惜しいっ~!!メルローと大体の地域がわかってまずはよかった。。
カベルネ・ソーヴィニヨンと、暖かい海岸近くってのは的中しましたね(ほっ)
ただこれ、香り味わいで細部を詰めていくわけなんだけど、最初の段階の色合いでブドウ品種がかなり絞れちゃいますよね。
なので、追々「視覚」を遮るブラックグラス(黒いワイン用のテイスティンググラス)を導入したいと思います。
では、今回ワイン当番をつとめたバルベラより、まとめさせていただきます。

そもそも、ワインってどうやって当てるのでしょう?
すごく簡単に言っちゃうと、以下の方程式でどんなワインかを考えるのです。
ワインの色×香り×味わい を感じて

ぶどう品種×造り方×生産地域×収穫年度 などを推測
本当は、語ると一冊本が書けるくらい一言では言えないんですが、みんなワインの知識と記憶(いろんなワインを飲んできた記憶であったり、イタリアで実際に生産者を訪れた体験だったり)のピースを組み合わせて考えると、パズルの絵が浮かび上がるみたいな感じなんですね。
一種の推理ゲームでもあって、ソムリエなら誰しも当てられる、という訳ではないほど、複雑なんですけど。

次回は、はやし社長の提案したブラックグラスで、色さえも遮ってのブラインドを行いたいと思います。
皆さんお楽しみに ♪
※ ワインとブドウのイラストは「ビンテージ Freepikによるベクターデザイン」より。